Spirula Studio で3DGSを作る:360°動画をそのまま入れて、1本のアプリで仕上げる
2026-10-01

YK360の最近の作例は、ほとんどを Spirula Studio というソフトで作っています。360°カメラで撮った動画を入れると、3DGS(3D Gaussian Splatting)のデータができあがるまでを1本のアプリで済ませられる、無料のオープンソースソフトです。
この記事では、植物園のサボテン温室を作ったときの実際のデータを使って、何ができるのか、以前のやり方と何が変わったのかをまとめます。
Spirula Studio とは
写真や動画から3DGSを学習(再構成)するためのソフトです。主な特徴は次のとおりです。
- 無料・オープンソース(GPL-3.0)。Windows・Linux・macOS で動きます
- メーカーを問わずGPUで動く。Vulkan で動くため、NVIDIA だけでなく AMD・Intel・Apple のGPUでも学習できます
- 前処理が全部入り。動画からのフレーム切り出し、カメラ位置の推定(SfM)、AIによるマスク、学習、メッシュ化までがアプリの中で完結します。Python や COLMAP を別に入れる必要はありません
- 360°カメラ・魚眼レンズにそのまま対応
- 量子化した学習で、8GBのVRAMでも最大1,000万個のガウシアン(SH3)を扱えるとされています
- 画面は日本語を含む多言語に対応。GUI と、自動化向けのコマンドライン版があります
開発はほぼ1人の開発者によるもので、1〜2週間おきに新しい版が出ています。
以前のやり方と何が変わったか
これまでは、1つの空間を3DGSにするまでに、いくつものツールを渡り歩いていました。
- 360°動画から、ブレの少ないフレームを切り出す
- 魚眼の画像からカメラの位置を推定する(別の写真測量ソフト)
- 学習ソフトが読める形式に変換する
- 3DGSを学習する
ツールをまたぐたびに形式の変換や設定の受け渡しが発生し、どこかで向きや縮尺がずれると最初からやり直しでした。
Spirula Studio では、Osmo 360 の動画ファイルをそのまま読み込めます。魚眼2枚を切り出し、カメラの位置を推定し、学習するところまで、同じ画面で進みます。
撮影者が写り込む問題を、AIマスクで消す
360°カメラは全方位を撮るので、撮影している自分が必ず写ります。そのまま学習すると、空間のあちこちに人影のノイズが残ります。
Spirula Studio は、写り込んだ人をAIで自動的に見つけて、学習から外すマスクを作ってくれます。

以前はここを手作業で直すか、写り込みを避けるように撮影を工夫するしかありませんでした。撮影のときに「自分が写らないように」と気にしなくてよくなったのは、現場では大きな違いです。
実際の数字
サボテン温室のデータは、次の条件で作りました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 撮影 | DJI Osmo 360 で温室内を歩いて撮影(動画1本) |
| 使ったフレーム | 578枚(魚眼の前後2面) |
| 学習 | 50,000ステップ |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti SUPER |
| 学習時間 | 約1時間25分 |

できあがったデータは、そのままサイトで動かしています。サボテン温室の3Dを動かしてみる
使うときの注意点
- 書き出したデータの向きを確認する。 表示に使うビューアによっては、そのままだと上下や前後が回転して見えます。公開する前に、使うビューアで必ず向きを確認してください(YK360ではWeb用に変換するときに向きを補正しています)
- Web向けには軽量化が別に必要。 学習結果は数百MBになることがあります。ブラウザで動かすには、点数の間引きや圧縮形式(SOGなど)への変換をしてから載せます(軽量化と埋め込みの記事)
- 更新が速い。 新しい機能がどんどん入る一方で、設定の名前や挙動が版ごとに変わることがあります。案件の途中で版を上げるときは、前のデータが同じように作れるか確かめてからにしています
- ライセンスは GPL-3.0。 ソフト自体を改変して配布するときの決まりで、作った3Dデータの利用を縛るものではない、というのが一般的な理解です
まとめ
- Spirula Studio は、360°動画から3DGSまでを1本で作れる無料のソフト
- 撮影者の写り込みをAIマスクで自動的に外せるので、360°カメラとの相性が良い
- Webに載せるときは、向きの確認と軽量化を忘れずに